令和5年度社労士試験の合格通知書が届きました。
既にウェブサイトで受験番号については確認していましたが、こうして通知が来ると
試験に合格できたことを改めて感じます。
点数はこちら。
・選択式(労働、労災、雇用、労一、社一、健康、厚生、国民):4,5,3,3,5,3,3,4で30点
・択一式(労働、労災、雇用、労一+社一、健康、厚生、国民) : 6,6,7,6,6,7,7で45点
まさにぎちぎりの合格でありました。
これまでいくつか資格試験の受験はしたことがありますが、社労士試験は主に社会人が受験する資格試験の中では相当な難関試験の部類に入るように感じています。
大学を卒業して以来、これほど試験勉強に時間を要したことはなかったように思います。
せっかくなので、今回は合格までの道のりについて記録しておきたいと思います。
受験のきっかけ
私の場合、「これ」という唯一の大きなきっかけがあったわけではなく、
以下3つの理由が背景にありました。
①人事に関する仕事をしていた
②独立開業できる資格である
③勉強することが結構好き
仕事においてもスキルアップにもなるし、もしサラリーマンを辞めても自分で何か事業を行う
ことができる資格であるという点は魅力的でした。
資格を使って絶対に転職する、あるいは開業するという強い目標があったわけではないので、比較的
軽い気持ちで勉強をはじめたように思います。
後からこの試験はそんな軽い気持ちだけで乗り切れるものではないと身に染みてわかることになりましたが..
予備校/教材選び
オンライン一択とはじめから決めていました。
時間的にも経済的にも他の選択肢をあまり現実的に考えることができませんでした。
「社労士 資格」で検索すると、大原、TAC、LECなどの資格予備校ビッグ3の情報が様々にヒットしますが、それに負けないくらい、フォーサイト、アガルート、クレアールといったオンライン予備校の情報もたくさんヒットします。
私はこういう情報を検索するのがわりと好きで、それぞれどんな特徴があるのか等々、個人ブログの情報も含め、様々に調べてしまいました。
今思えば、この時間を使ってもっと早く勉強を始めれていればよかったと思っています。
最終的に選択したのは”スタディング”です。
受験を決めた2021年当時はテレビCMも行っておらずややマイナーな存在だっかかもしれません。
ただ、紙テキストが不要でPC、スマホなどで学習が完結する点が魅力でした。
(後から紙のテキストもオプションで購入しましたが)
更に、元々他に比べて安い受講料にも関わらず、職場の福利厚生で更に価格が安くなった点も後押しになりました。
この選択は今振り返ってもよい選択でした。
1回目受験に失敗した後も迷わずスタディングを継続しましたしね。
使用した教材と費用のまとめはこちら。
1回目の受験は不合格!
スタディングでの勉強を始めたのは10月からで試験までは10カ月ほどある状態でした。
合格のために必要な目安の勉強時間は1000時間ということで、この時点で時間の確保も含めて厳しい状況でしたが、机に向かわずとも、通勤時間に講義を聴くなどすればなんとかなるのではとやや楽観的に考えておりました。
ちなみにスタディングには勉強時間を記録する機能があるのですが、その機能によると試験日までのトータルの勉強時間は707時間でした。
そして、約700時間を費やした1回目受験の際の私の点数は以下のとおりです。
・選択式(労働、労災、雇用、労一、社一、健康、厚生、国民):3,2,4,3,1,3,5,1で22点
・択一式(労働、労災、雇用、労一+社一、健康、厚生、国民):4,3,3,3,5,3,1で22点
もはや記念受験レベルの点数です。
試験を受ける前から1回目の受験の時はまるで合格する気がしませんでした。
初学者にありがちかもしれませんが、全体的に知識の定着率が低く、年金にいたってはほぼお手上げ状態でした。
寡婦年金って?経過的加算って何?とかいうレベルです。
それでも、まぐれで厚生年金の選択式が満点というのがわからないものです。
択一式試験は問題がわからなすぎて時間が余りました。
勘で回答する問題が多いため、あまり疲労もしなかった気がします。(ダメ受験生です)
半年間の勉強でも1発合格している方がいると聞きますが、すごいですね。
相当高い集中力で効率よく勉強すれば合格できるのでしょうか。
少なくとも私にとって合格はかなり遠い存在でした。
受験生2年目に突入
1回目受験の後はしばらく勉強に手をつけられずにおりました。
受験する前から合格は無理だろうなとは思ってはいましたが、そこそこは勉強した気でいたのでしばらくお休みをしてしまいました。
後1年も勉強するのかという、やや疲れた感情や子供が生まれたりと勉強へのモチベーションが上がりませんでした。
とはいえ、仕事をする中でもやはり専門知識はあるに越したことがないと感じる場面もあること、労働科目の内容は結構面白いと感じていたこと、そして、これまでせっかく勉強したことが何にもならないのは勿体ないという気持ちから継続受験を決めました。
教材はやはりスタディングです。
早苗先生のスライドはかなりわかりやすいですし、しゃべり方も上品な感じで好きでした。
しかも、更新割引でかなり安く受講できたりと、他に代える理由はありませんでした。
1回目受験の際は動画視聴は何度もしましたが、テキスト読みや問題演習は十分にできていなかったので、しっかりと受講すれば合格できるのではと感じていました。
要は不合格は教材の問題ではなく、自分の問題ということですね。
不合格の反省を活かして年金を中心に勉強していきます。
年金については理解するまではかなり時間を要しましたが、問題演習を繰り返すことで知識が定着していきました。
内容について、当初は年金にあまり興味を持てなかったのですが、勉強が進んでくると面白く感じました。
いずれ自分にも関わってくる問題ですし、子供が生まれてからは特に関心を持つようになりました。
(自分が死んだら遺族年金はどれくらい残せるのかとか..)
仕事と勉強の両立はなかなか難しい部分もあり、平日は耳で講義を聞くことしかできない日もありましたが、春から育児休業を取得することができるようになっていたので、勉強はその後からでもリカバーできるかなと考えていました。
(今思えば、この冬から春の時期にもっと危機感をもって勉強すべきでした)
仕事が休みになったとはいえ、育児や家事には一定の時間は要します。
育児といっても、妻もおり、ワンオペ育児ではありませんので、仕事をしていた時に比べると時間はあります。
ただ…
詳しくは別に書こうと思いますが、育児、家事と資格勉強の両立は精神的に消耗することが多々ありました。
もちろん、家庭の状況にもよりますが、私の場合はこの点においてはうまくできなかったと感じています。
それでも、仕事をしていた時に比べれば勉強に使える時間は多く、1回目受験を終えてから試験日までには約1100時間の勉強をすることができました。
合格に必要とされる目安の勉強時間は確保できたことになります。
しかし…
1000時間以上勉強(1回目受験時と合わせると1800時間くらい勉強したことになります)しても
「これで合格できるぞ」という確信はまったくありませんでした。
6月時点で過去問を解いても制限時間内に終えることができず、あと2か月でどうにかなるのか、、と落ち込みました。
知識がついた分、選択肢で迷うことが多くなったのです。
また、選択式でも基準点割れをすることが多々あるので、過去問を解く度に現実の厳しさを感じていました。
今思えば、過去問や予備校が実施する模試などをもっと早くから活用すればよかったなと思います。
私の場合、講義を聞いたりするインプットにかなり時間を使い過ぎ、演習量が圧倒的に不足していました。
テキストを読むのは楽しいのですが、問題演習がどう好きでなく、逃げていたように思います。
結果的に試験時間内に問題を解く練習としては、過去問4年分を解いたのみでした。
勉強時間の記録はこちらをご参照ください。
直前期と試験当日
7月、8月は演習を中心に行いました。
演習に本腰を入れるには遅いスタートですが…
朝起きたらツイッターを開く前にスタディングを起動します。
そして、すぐに問題を解く!
ロードバイクレースの面白い時期ですが我慢です。(ハイライト映像だけはチェックしますが)
そして、直前2、3週間は家事も育児もほぼ免除させてもらいました。
演習としてはスマート問題集、セレクト過去問はかなり繰り返しました。
過去問をやった時点で1つ1つをじっくり考える暇はない試験だと感じていたので反射的に回答できるまで繰り返しました。
こうすることで本番でなんとか勝負できるくらいまでにはなりました。
とはいえ、合格できる自信はなく、合格できる可能性は30%くらいかなと感じていました。
ちなみに、試験直前におけるスタディングのAIを利用した私の本番での予想獲得点数(そういう機能があるのです)は選択式22.1、択一式41.1点でした。
このままでは不合格です。
ただ、まぁそうだろうなという感じ。
悔しいですが、納得の点数です。
そうするとやることは1つ。
神頼みです。
普段神社でお参りすることはほぼないのですが、前日は近所の神社にいきました。
5円を入れようとお財布を除くと50円しかありませんでした。
一瞬躊躇しましたが、これまでに費やした時間を考えるとただでお参りするわけにはいきません。
奮発してお参りです。
色々あったけど、やることはやったという感です。
そして、試験当日。
想定通り前日はあまり眠れず市販の睡眠導入剤を通常の半分の量飲み(通常の量を飲んでしまうと午前中に頭がボーっとなってしまうリスクがあるので半分です)、ひたすら無の状態をキープします。
熟睡できておりませんので、試験会場までもできるだけ頭を使わないように、白書や統計の講義をBGMのように聞いていました。
会場の東京ビッグサイトに乗るりんかい線は受験生が多く、試験勉強をしている方が多くおりました。
皆、忙しい中頑張った方です。
戦友ですね。
午前の選択式は最初にして最大の難所でしょう。
この選択式で涙をのんだ方がどれほどいるでしょうか。
私も時間ぎりぎりまで闘いました。
特に厚生年金の最初の2問。
権限委任の問題です。
これは、厚生局長系か財務大臣系か.のどちらで回答すべきか..
判断に相当迷いました。
なんせ、どっちかに決めた時点で2点か0点が確定します。
ここで思い出したのだ社労士24、金澤先生のユーチューブです。
こういう場合は”たすき掛け”だと。
すなわち、1点を狙う方法です。
満点はないけど、全滅はしないという回答方法。
5点満点中3点以上が必須の選択式問題で1つの論点で2点を失うのはダメージが大き過ぎます。
散々迷った”たすき掛けの方法”を取りました。
結果、厚生年金は3点でした。
まさに勝負の分かれ目になる判断でした。
お昼休みは頭を使いたくないので会場をプラプラ。
それにしても女子トイレの大混雑には驚きです。
これ、お昼休憩時間内に皆さん間に合ったのでしょうか。
東京ビッグサイトほどの会場になると受験生の数がすごいことになっています。
さて、午後は択一式試験です。
ここはホントにスタミナ勝負です。
一般常識までは大問は各20分で終えて健康保険、年金に備える作戦したが、かなりおしてしまいました。
問題訂正もあったのでなおさらです。
(心の中で訂正紙配ってくれよー!と思っていました)
スタミナについては本番になればアドレナリンで持ってくれるだろうと考えていましたが、健康保険辺りできつくなってきました。
ここでトイレ休憩です。
当初はトイレに行く予定はなかったのですが、雑念がどうしようもなくなってきました。
試験時間に余裕はないので、トイレが近い場所にあってラッキーでした
択一式試験は全体的に不明な論点が多い印象があり、そういう選択肢はバンバン飛ばして何とか制限時間までに解き終わることができました。
選択肢をじっくり再考するうほど時間は余らなかったのでマークミスがないかを中心に見直しました。
1か所、決定的なミスを見つけることができた点も大きかったです。
思えば、ここも合否の分かれ道でしたね。
「疲れた…」
終わった後の率直な感想です。
択一式は手ごたえがなさすぎたので、選択式の基準点以前に択一式の総合点が足りていないだろうなという感想。
それでも、試験勉強から解放されたという安堵感が強かったです。
帰宅中は我慢していたオーディオブックの聴き放題プランを再登録。
耳読書の時間が作れる喜びを感じました。
自己採点から合格発表まで
自己採点…
多分ダメだろうなぁ…そう思いつつも期待している所もあり、複雑な気持ちで行いました。
そして…
まさかの合格圏内。
思わず「よしっ!」と心の中で叫びました。
しかし、数日後に択一の合格ラインが大原で47点、TAC、LECで46点と発表された際は愕然となりましたが。
択一45点というボーダーライン上というメンタルが不安定になるような状況だったので、
正式な合格発表が行われる前にスタディングの継続申込をしておりました。
今思えば、発表まで待つべきでしたが、継続して勉強をリスタートすることには相当なエネルギーを使います。
不合格だった時のダメージを軽減しようと考えたの行動でした。(心配性すぎますね)
私はロードバイクが好きなのですが、坂道を走るときはリズムで登っていればさほど苦しくないのですが、いったん停止してしまうと最初の一こぎは苦しいものです。
例えるならそんな感じでしょうか。(わかりにくい)
さて、合格発表当日です。
ウェブサイトを見る時は緊張しましたね。
合格は期待しないと自分に言い聞かせる中番号を見たとき、本当の解放感に浸ることができました。
努力が報われた瞬間というのはとても気持ちのよいものです。
合格に必要な実力と運
さて、この社労士試験を振り返って思うこと。
それは、実力と運の両方が必要であるということ。
実力は言わずもがなです。
テキストに掲載されている内容を理解し、記憶していること。
そして、その頭の中にある記憶を使って制限時間内に選択肢を読み、回答できる実力です。
おそらく、一定の学習をされた方にとって択一式試験はそれほど恐れるものではないかもしれません。
模試とかでも安定的に合格点に到達できるという方は少なくないと思います。
これはもう十分に実力がついている状態です。
一方で、選択式の問題。
これについては、択一式問題とは少し区別して考える必要があると考えます。
もちろん、勉強への向き合い方は変わることはないと思いますが、多少なりとも運の要素があることは否定できないなと。
もちろん、圧倒的な実力をもっていれば合格間違いなしというところまでいけると思いますが、その圧倒的な実力を得るためには途方もない学習を要してしまいます。
社労士試験を受験する人は仕事をしながら、育児や介護をしながら等々、自分のリソースをすべて勉強に使える方は少ないかと思います。
使えるパワーに限りがある以上、圧倒的な実力を手に入れるためのアプローチを行うのではなく、一定の実力がついた後は、運に委るという考え方があってもよいと思うのです。
よく先生が「この試験は完璧を目指さないことが必要」と発言していますが、その通りだと思います。
私が合格できたのも運がよかったからだと思っています。
選択式ではたまたま得意とする分野が出題されたり、2択で迷った選択肢で正解できたことなど、紙一重でありました。
これは実力というより運であったなと。
選択式問題は実力があってもほんの少しの運によって合否を左右する魔物といえるでしょう。
最後に
オンライン講座の受講ということで、試験勉強については孤独な闘いでありましたが、Xで同じく勉強に励んでいる方の投稿などには元気をもらいました。
ありがとうございます。
私はトライアスロンが趣味なのですが、その競技では「ゴールした者は全員が勝者である」という言葉が使われることがあります。
一般に超距離レースは完走するだけでも困難であるので、このように言われるのだと思います。
社労士試験においても、その学習範囲の広さゆえの困難、仕事や育児など、人生の中でも自分のための時間確保が難しいときに試験に直面するという状況もあると思います。
それ故、試験を受けるのを断念してしまうこともあるでしょう。
私も1回目受験の際は、試験会場にいくだけ無駄ではないかと思いましたし、2回目受験の時ですら、自信はありませんでした。
とはいえ、まぁ、何とか会場に行こうと思えるだけの努力はできたこと。
それだけでも価値があることだと言い聞かせていました。
合格した人だけが勝者ではなく、この試験のために何とか手を尽くしてやってきた、努力を継続できたのであれば、それはもう同じく勝者ではないかと思います。
今後はこの資格、経験をどう活かしていくかだと思っています。
自分も、そして受験された皆様、本当にお疲れ様でした。