家庭菜園を始める時の土ってどうしてますか?
プランターで始める方は、土そのものを買ってくるのが通常かと思います。
しかし、畑の場合は、もともと土がある。
ということは、特に何もしなくていいのでは?
そんなことを初めは思っていました。
しかし…
いろいろと調べてみたところ、土づくりは野菜作りの基本中の基本。
しっかりとした準備が必要とのこと。
きちんと野菜が育つよう、ふかふかで栄養たっぷりの土をつくってあげることにしました。
よい土とは?
よい土とは、どんな土か。
簡単に定義をすると、水はけがよく、保水性にすぐれ、空気の流れもよい土と言われています。
こうした土だと植物が根を張りやすく、肥料の吸着性もよいということですね。
めざすはふかふかベッドの土です。
寝るこは育つ、よく寝かせるためには性能のよいベッドが必要ということですね。
こちらはまだ何も耕していない状態の土です。
雨が降っているので、少し湿気を含んでいますね。
湿気がないとこんな感じ。
なんかパサパサしていて砂っぽいです。
それに、全体的にかたいんですよね。
鉄の敷布団…はいい過ぎですが、極うすのふとん状態です。
これでは困ります。
よく寝られないベッドでは身体が休まらず、成長ができないのと同様、
土がかたいと植物の根がちゃんと伸びてくれません。
では、どうしたらよいか。
ふかふかの土にするためには、きちんと堆肥を与えてあげる必要があります。
今回は私は、畑を借りることにしたので、そこで野菜が育つことは確認されています。
全然ダメな土ということではないですね。
しかし、土の中に含まれる養分には限りがあります。
時間が経つにつれ、養分が足りなくなってしまうと、植物の生育にもよくありません。
野菜の栽培が一区切りついた畑の土ですので、仮に見た目が大丈夫そうであっても
肥料を使ってに養分を与えてあげる必要があります。
土づくりに必要な「堆肥」
なるほど、よい土のためには適切な堆肥と肥料を与えてあげる必要があると。
しかし、堆肥とは?肥料とは?
なんとなく同じようなこの2つは何か?
まずは堆肥について。
堆肥とは家畜のふんや、落ち葉などの有機物を、微生物の力で分解させ、
成分的に安定化するまで腐熟(よく発酵して腐ること)させたものをいいます。
ホームセンターにいくとたくさんの堆肥が売らています。
牛ふん、鶏ふん、馬ふんなどの動物性堆肥から、わら堆肥・バーク堆肥など植物性堆肥まで
選ぶのが大変なくらいあります。
堆肥の種類にもよりますが、リン酸、カリウム、窒素といった栄養分をたくさん含むので土壌改良効果もあるのです。
ただ、堆肥と肥料って何が違うの?と思いませんか。
簡単にいいますと、堆肥というのは、土壌の中に微生物や
昆虫などが住みやすい環境を整えるために必要なものです。
すなわち、堆肥とは、ふかふかの土にするために、土にあげるもの、ということができます。
一方で、肥料は植物(野菜とか)が栄養素を取り入れるものですので、植物にあげるもの、といえるかと思います。
同じような成分で構成されていたとしても、基本的な用途が違うわけですね。
ところで、堆肥を扱う上で重要なこと。
それは、完熟させた堆肥を畑にまくことです。
未熟な堆肥をまくと、微生物が分解しきれずに残り、硝酸態窒素の含有量の多い畑になってしまうのだそうです。
そんな畑で育った野菜には硝酸態窒素が残留してしまうんですね。
では、硝酸態窒素って何が問題?ということですが、これを体内に摂取してまうと発がん性物質を
生じてしまうと言われているそうなんです。
食べ物を育てる場所です。
食べ物は私たちが生きるためのものです。
土づくり、やっぱり大事ですね。
適切な堆肥を与えましょう。
こちらが牛糞をまいたところです。
土と明らかに違いますね。
土づくりに必要な「肥料」
先の説明でもお伝えしましたが、肥料とは、植物に栄養を与えるためにものです。
植物が育つためには、窒素(N)やリン酸(P)、カリウム(K)などの無機養分が必要なんですね。
(高校のときに学習した元素記号の登場です。)
植物は土の中に張り巡らした根を通じて、生長に必要な養分であるNPKを吸収していきます。
では、NPKのそれぞれはどんな役割があるか、簡単に説明します。
①窒素(N)
葉や茎の元になり、葉緑素を作ります。
そのため、「葉肥」と呼ばれます。
②リン酸(P)
花や実の生育に欠かせないのがPです。
そのため、「果肥」や「実肥」と呼ばれます。
③カリウム(K)
根や茎・球根を太らせる効果があります。
そのめ、「根肥」と呼ばれます。
ところで、肥料はその素材により、「有機肥料」と「化学肥料」の2種類に大きく分けられます。
有機って聞くと、なんか身体によさそうですね。
有機肥料とは、油粕や魚粉、鶏糞など、植物性または動物性の有機物を原料にした肥料のことです。
一方で、化学肥料とは、鉱物などの無機物を原料とした肥料のこといい、無機養分一つのみを保証する肥料を
「単肥(たんぴ)」、窒素、リン酸、カリウムのうち二つ以上の成分を保証する肥料を「複合肥料」といいます。
ところで、ホームセンターにいくと化成肥料と書かれた袋を見たことはありませんか?
化成肥料というのは、複合肥料の中で、単肥や複合肥料を配合して造粒または成形したものです。
また、肥料や肥料の原料に化学的操作を加えて製造された複合肥料のことも化成肥料といいます。
要するに化学肥料(複合肥料)の一部ということですね。。
複合肥料なのでNPKのうち少なくとも2つ以上が含まれているわけですが、
NPKがどれだけ肥料に含まれているかについては、細かく名称分けもさています。
NPKの成分合計値が30%未満のものが「普通化成肥料」、30%以上の物を「高度化成肥料」です。
高度化成肥料は、植物に対して効き目が早く、追肥(野菜を育てる際に途中で肥料を追加してあげること)
にも向いています。
細かな用語はさておき、ざっくりとした違として、
有機肥料は即効性が低いが持続性が高いという特徴をもっています。
それに対し、化学肥料が主体となる化成肥料は即効性が高いが持続性が低いのが特徴です。
ところで、よく有機農産物なんて言葉をききますが、これは、農薬や化学肥料を原則として使用せず、
堆肥などによって土づくりをおこなった畑で栽培された農産物のことをいいます。
家庭菜園をせっかくやるのであれば、有機農産物にチェレンジするのもいいですね。
忘れてはいけない石灰
ここまで堆肥と肥料について説明してきました。
さぁ、これで土づくりが完成!と言いたいところですが、最後に1つ忘れてはいけないものがあります。
そう、石灰です。
石灰の主成分であるカルシウムなのですが、これは野菜の生育に欠かせないものなのです。
具体的には、カルシウムの補給、酸性土壌の中和に大きな役目を果たしているのです。
①カルシウムの補給
野菜づくりに重要な3大栄養素としてチッソ、リン、カリウムがあると先に説明しました。
そして、その次に必要量の多い栄養素がカルシウムです。
カルシウムは野菜の生育にも重要なのですね。
カルシウムは細胞壁の原料となり、新しい細胞が作られる成長点や根の先端で特に必要となるそうで、
カルシウムを十分に吸収した野菜は、病気に強くなると言われています。
野菜を育てて思いましたが、結構簡単に病気になってしまいます。
雨の多い日本の気候においてはカルシウムは不足しがちです。
(カルシウムは水に溶けやすい性質があります)
しっかりとカルシウムを補給してあげましょう。
②酸性土壌の中和
さて、雨が多いことは、土壌が酸性に傾きやすいということです。
酸性雨という言葉はよく聞きましたね。
化学肥料は酸性のものが多いですし、雨自体が酸性化していること、より酸性化しやすくなってしまいます。
それを中和するために、石灰をまきます。
以上、石灰の役割を説明しましたが、石灰にもいくつかの種類があります。
一般的に畑で使う石灰というと、消石灰、生石灰、有機石灰を指すことが多いのですが、
主成分であるカルシウムのことを石灰と表現する場合もあります。
簡単に1つずつ紹介します。
・消石灰
アルカリ性がとても強いです。
酸性土壌を速やかに中和する目的で使われます。
ただ、窒素肥料との化学反応でアンモニアガスが発生したり、皮膚のかぶれる危険もあるため取り扱いには注意です。
・生石灰
こちらもアルカリ性がとても強いです。
石灰の中で酸性中和力がもっとも高いといわれています。
ただ、水と反応すると発火するほどの高熱を発するため取り扱いには注意です。
・有機石灰
カキやホタテなどの貝殻、卵の殻などを粉末にしたものなどがあり、主成分は炭酸カルシウムです。
水に溶けにくい性質があり、穏やかに中和していくため、土が硬くなったりなどの失敗が少ないと言われます。
・苦土石灰
炭酸カルシウムに加え、炭酸マグネシウムが含まれています。
カルシウムと同時にマグネシウムを補給したい時に使われます。
ここまで、野菜栽培の基本中の基本である土づくりの必要な堆肥、肥料、石灰について説明してきました。
それもホームセンターにはたくさんの種類がありまして、それぞれの種類によって必要な量もパッケージに記載されています。
私が10㎡で使用した堆肥、肥料、石灰はご覧のとおり。
今思えば、堆肥はやや少なかったかな、という印象です。
それに、せっかくであれば有機肥料を使えばよかったと。
これも経験ですね。
とはいえ、あまり細かなことを気にしなくても野菜はそれなりに育ってくれるものだと思いました。
まずは楽しんで始めてみることが大切だと思います。